2012年5月26日土曜日

ゲロゲロプースカ

しりあがり寿の『ゲロゲロプースカ』を読みました。チェルノブイリ原発事故をうけて創作、発表された連作の漫画ですが(2005年から2006年にかけて月刊コミックビームに掲載)、この度新装版が出版されました。


「20XX年 人類は自らの欲望と無為による
ひとつの事故を引きおこした

世界中に広まった放射能で
代謝のゆるやかな老人と
14歳までしか生きることのできない子供たちだけの
世界が残された」

(しりあがり寿『ゲロゲロプースカ 新装版』 2012・株式会社エンターブレインより )

子どもの視点からの短篇が多いのですが、人類存続を賭けるという老人たちから過度に管理され、14歳になる前に子作りさせられ、捕獲され、そして死んでゆく子ども。絶望と切ない純真さとが交錯します。

福島第一原発からはまだ放射性物質が漏れ続けています。放射性物質は陸の作物、魚介類、土ぼこり、水にも移行して人の体に入っていっています。これは事実です。原発推進派と脱原発派の対立は経済的な見地から語られる事が多く、個人も国家も貧困を憎む余りに感情をこじれさせているように感じられます。むしろ問題にすべきは原子力発電の存在を倫理的に許すかどうかなのではないか。制御できない技術と力を手にしてしまった人間の分別が、今のっぴきならない状態の下で問われていると私は感じています。

漫画というメディアならではの柔軟さで心に直截ドンと響く作品です。この直球を受け止められる柔軟さが日本人にはまだあることを祈りつつ。


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